【北朝鮮】海の上でも容赦ない

海上保安庁によると、北朝鮮漁船は7月、能登半島から北北西約300キロの「※大和堆(やまとたい)」と呼ばれる海底山地がある海域に、1日当たり50~百数十隻で押し寄せ、日本の漁船の明かりに集まったスルメイカを横取りしたり、流し網などで違法に漁をしたりしたという。

※大和堆(やまとたい)とは、日本海中央部に位置する浅い部分(海底山脈)である。最も浅い部分で水深236mであり日本海有数の漁場

 海上保安庁は水産庁と連携して取り締まりを実施。電子掲示板で警告し、悪質な場合は放水した。海上保安庁だけで延べ820隻に警告して※EEZ外に退去させ、北朝鮮漁船は8月中旬以降、周辺海域で確認されていないという。海上保安庁などは、今後も取り締まりを継続する。

※【EEZ】海域の海底やさらにその下も含まれ、水産資源の獲得や鉱物資源などの開発、人工島などの建設が、他国の干渉を受けずに独占的にできる。 排他的経済水域は国連海洋法条約に基づいて設定され、英語ではExclusive Economic Zone(EEZ)と呼ぶ。

 大和堆のある海域では、水産庁の漁業取締船が7月、北朝鮮船籍とみられる小型船から小銃の銃口を向けられ、政府が北京の外交ルートを通じて北朝鮮に抗議した。

「日本の排他的経済水域(EEZ)内での違法操業は認められない。ただちに退去せよ」。北朝鮮漁船が違法操業を続ける日本海の大和堆(やまとたい)では7月上旬、海上保安庁の巡視船から出された韓国語の音声がサイレンとともに鳴り響いた。海保はEEZ漁業法違反による摘発よりも違法状態の解消に重点を置き、北朝鮮船を次々とEEZ外に排除。1カ月余を経て、日本海有数の漁場は平穏を取り戻した。

 7月上旬、大和堆に到着した巡視船が現場で確認したのは、多くの北朝鮮の小型木造漁船だった。密集はしておらず、広い海域に数隻ずつ点在。長さは十数メートルでいずれも古びていた。乗組員は8~10人程度。数人がかりで網を引き上げ、船体に張ったロープにさばいたイカを干すなどしていた。

 海保担当者は「乗組員は漁が許されない場所という認識はあったのだろう」と振り返る。巡視船が現れただけで逃げ出したり、退去勧告に対し、手を挙げて「分かった」というそぶりを見せたりする北朝鮮船が多かったからだ。

だが、すべての北朝鮮船が従順だったわけではなかった。海域に居座り、漁を続ける北朝鮮船に対しては、海保は放水による排除を敢行。船体を破損させないよう、放水は山なりで実施した。「海水の大雨を降らせ」(担当者)、干したイカの商品価値を下げる狙いもあったという。

 放水後にとどまる北朝鮮船はおらず、網を切って放棄するなどして走り去ったという。海保担当者は「巡視船の数を大幅に上回る北朝鮮船に対し、効果的な排除ができた」と話した。